加賀友禅 作家 山下智久さんの工房で

今年の春に仕入れた加賀友禅振袖はとても良く出来ていて、店主は十分納得して仕入れました。幸い、京都に在住のお孫さんにとお嫁入りが決まりました(お買い上げになったということです)。スタッフの評判も良かったので、この雰囲気で地色の違うものがお願い出来ればと考えていました。
作者は山下智久さん。千葉県出身で東京友禅を学ばれた後、金沢で加賀友禅の矢田博氏に師事されました。矢田先生は店主が金沢に戻ってきて、最初にお会いした先生です。ご挨拶に伺った時、きちんときものを着てお迎え下さったことが今でも印象に残っています。昭和61年のことでした。その前年に山下さんは独立されていました。矢田博先生の作風は娘婿さんの秀樹さんが継いでいます。山下さんの作風は矢田先生の雰囲気もありますが、メリハリの利いた、力強さが際立っています。
今回、津幡の工房にお邪魔して制作中の振袖を前に地色を山下さんと検討しているところです。どんな染め上がりになるかは、後のお楽しみです。
山下さんはお弟子さんはなく、奥さん(矢田工房のご出身!)とお二人でされているとお聞きしていました。それでお邪魔するとなんと!青い目の素敵な女性が友禅のお仕事をされているではありませんか!私はてっきりこの方が山下さんの奥さんかと思い、ビックリしました。聞くとウラジオストックから、勉強の為に来ているとのこと。ロシアで歴史の先生をしているそうです。ご自分の振袖を染めるんだと、スケッチもしながら、友禅の勉強をされていました。感心なものですね。将来、ロシア友禅の創始者になるかも知れないと、記念写真を撮ってしまった店主でした。